石垣島への陸上自衛隊配備計画で、石垣市は9日までに、平得大俣地区にある駐屯地予定地の市有地約22㌶を分筆し、施設整備が計画されている部分を売却、残りの部分を賃貸する処分案を固めた。防衛省が公表している施設配置図によると、売却部分の面積は市有地の過半に達する可能性がある。現在、分筆に向け面積を確定する作業などが進んでおり、手続きが整いしだい、市は市有地の売却議案を市議会に提案する。
中山義隆市長は9日、取材に対し、市有地の一部を賃貸する理由について「市有地を賃貸することで、年次的に決まった賃借料が入る」と述べ、賃借料を市の政策に活用したい考えを示した。具体的な使途は決まっていないが、児童生徒の派遣費などを視野に検討するという。
市有地の取り扱いは9日の市議会一般質問で仲間均氏と花谷史郎氏がただした。
市当局の答弁によると、沖縄防衛局は昨年11月、文書で市有地の売却を要請していた。今年7月下旬に不動産鑑定が終わり、市は市有地の処分案について、賃貸を含めて沖縄防衛局に提示。これを受け防衛局は11月28日、市有地を分筆した上で一部を売却、残りを賃貸とすることを了承する文書を提出した。
市は翌29日、公有財産検討委員会(委員長・川満誠一副市長)で、市有地の売却部分について「駐屯地施設の安定的な運用を行うために必要不可欠な範囲」と認め、売却を認めた。
今後、売却や賃貸の面積確定、立木の補償などの手続きを進め、同委員会で最終的な承認を得た上で、市議会への売却議案提案や賃貸契約の締結を行う。
市有地の売却部分には隊庁舎、覆道射場、グラウンド、進入通路、雨水沈砂池の整備予定地が含まれている。市の条例では、面積5千平方㍍以上で売却額が2千万円以上の市有地の処分は市議会の同意を得るものと定めており、市によると市有地の売却部分は条例に該当する見込み。
賃貸する方針の土地は訓練場で、現時点で施設整備は計画されていない。賃貸する場合は市議会の議決は不要。中山市長は仲間氏への答弁で「公有財産検討委の決定に従って進めたい」と述べた。
仲間氏は「勇気ある決断にエールを送る。早急に進めてほしい」と要望。花谷氏は「市民の意見を聞いて判断すべき」と批判した。