自治基本条例を巡るゴタゴタだけが注目された石垣市議会だが、前向きな議論もあった。例えば新八重山博物館・美術館の建設を求める要請決議◆現博物館は老朽化と狭隘化が進む。与野党とも建て替えの必要性では認識を共有し、美術館機能も併設する方向性を確認◆米盛初恵氏が提案した当初の文面では、国に要望する具体的な支援策までは明記されなかった。しかし与野党間の協議で「沖縄振興特定事業推進費」の活用が最良とされた。県を通さない交付金であるため、スピーディに国と交渉できるメリットは大きい◆9月末に石垣市、竹富町で発生した大規模通信障害に関しては、責任の一端を負うべき県から市に、謝罪も説明もないことが明らかになった。この問題を取り上げた砥板芳行氏は当初、抗議決議の提案を示唆。しかし野党との調整で、決議はより穏当な表現に修正され、そのぶん、再発防止を強く要望することになった。これも与野党で建設的な議論が交わされた好例だ◆一方で、自治基本条例を巡る与野党間の対立は空虚で無内容。将来に向けてどんな教訓が得られたのか。最後は数合わせの茶番で幕引きとなってしまった。県と国の関係もそうだが、与野党も対立より協調のほうが、生まれる結果は実り豊かだ。