政府は2020年度の沖縄振興予算を20日閣議決定し、2018年度や19年度の当初と同額の3010億円に据え置いた。公共事業関係費として前年度と同額の1420億円を計上し、一部を首里城(那覇市)の再建に向けた取り組みに使う。
概算要求から180億円の減額。県が使途を決められる沖縄振興一括交付金は19年度から79億円削減され、1014億円だった。国が県を通さず、市町村を直接支援する沖縄振興特定事業推進費は55億円(前年度比25億円増)。交付金減は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る政府と県の対立が影響した可能性がある。
一括交付金のソフト事業は522億円(同39億円減)、ハード事業は492億円(同40億円減)。モノレール3両化に関しては補助率を引き上げる制度を創設する。
返還された西普天間住宅地区跡地で琉球大学医学部と同附属病院の移設を中心とする沖縄健康医療拠点を整備する事業は89億円(同30億円増)、沖縄科学技術大学院大学(ОIST)で世界最高水準の教育・研究を支援する事業は203億円(同7億円増)となった。
新規事業では、小規模離島の海底送電ケーブル整備事業に11億円、職場以外で働くテレワークの推進事業に3億円を盛り込んだ。
離島市町村の先導的な事業を支援する沖縄離島活性化推進事業は15億円(同3億円増)。北部振興事業は前年度と同額の35億円。こどもの貧困緊急対策事業は15億円(同3億円増)。
沖縄産業イノベーション創出事業、沖縄製糖業体制強化対策事業、観光防災力強化支援事業、地域安全パトロール事業なども盛り込まれた。沖縄振興費は、安倍晋三首相が21年度まで毎年度3千億円台を確保するとしている。沖縄県の玉城デニー知事は一括交付金の上積みなどを求めていた。