離島から石垣島への急患搬送で使われるヘリポートの設置位置を巡り、第11管区海上保安本部石垣航空基地と石垣市議会が22日、新石垣空港の同基地内で意見交換した。旧石垣空港内にある真栄里ヘリポートは県立八重山病院に隣接しているが、周辺で石垣市の新庁舎建設が始まったため、使用が中止されている。意見交換で同基地側は「(ヘリポートは)患者のことを考えると病院の近くにあるほうが早く運べるし、うちもストレスを感じずに引き渡せる」(金城直樹飛行長)と述べ、旧空港跡地の別の場所に仮に暫定的なヘリポートが設置された場合、ヘリの運用は可能との認識を示した。
現在、急患搬送のヘリは新空港で離着陸し、市消防本部の救急車に患者を引き継いでいる。病院までの搬送時間は真栄里ヘリポートの使用時に片道5分程度だったが、現在は片道15分程度に延び、竹富町などから「急患は一分一秒を争う」と懸念の声が上がっている。
真栄里ヘリポートの周辺では、新庁舎建設工事のための掘削が始まり、資材置き場や簡易トイレなども設置された。意見交換で同基地側は、真栄里ヘリポートを使用し続けた場合、ヘリ離着陸時のダウンウォッシュ(吹き下ろしの風)で工事に被害が及ぶ恐れがあると説明した。
ダウンウォッシュの影響が出る範囲は50㍍ほど。新庁舎の建設地から離れた旧空港跡地の北側については、ダウンウォッシュの影響はなく、金城飛行長は暫定ヘリポートとして「場所はОK」と指摘。ただ、滑走路の舗装が剥がされているため「担架のキャスターが転がせない。そのままでは使えない」と述べた。
暫定ヘリポートを設置するには国土交通大臣の許可が必要で、市議の質問に「申請から最低2週間かかる」と答えた。
離島からヘリポートへの所要時間は、旧空港と新空港で一分以内の差しかないことも明らかにした。ヘリポートが新、旧空港のいずれに設置されてもヘリでの輸送時間はほぼ変わらないが、救急車での搬送時間の差が大きいことになる。
市は旧空港跡地に土地区画整理事業を導入し、跡地利用計画に基づいた開発を進める方針のため、仮に暫定ヘリポートが設置されても、その間しか使用できない。
意見交換後、市議会の平良秀之議長は「現場の生の声を聞くことができ、参考になった。いろいろな角度から考え、議会として判断、提言できれば」と話した。
意見交換には市議18人が参加した。