第3回宮良當壯賞(主催・八重山日報社、同賞選考委員会)の授賞式と祝賀会が15日午後3時から、アートホテル石垣島で開かれ、元県立博物館館長の當間一郎氏(81)と登野城ユンタ保存会(波照間永紘会長)が表彰された。会場には関係者が詰めかけ、當間氏と同会の受賞を祝った。
當間氏は謝辞の中で、組踊の書籍購入と共同で雑誌を発行したエピソードから當壯の人となりを紹介し、「頑固で難しい面もあった人だが、優遇してもらった。(この授賞で)當壯の心と気持ちをもっと深く知りたくなった」と述べ、改めて當壯への感謝の気持ちを表した。
同会の波照間会長は「昨年登野城のすべてのユンタをCD化して残したほか、登野城村古謡集(1991年発行)で活字にしているので、これで歌と音源を末代まで保存できることになった。我々の使命は古謡を若い世代にどうやって伝えていくかだ」と古謡継承について決意を露わにした。
授賞式では選考委員会の石垣繁委員長が當間氏と同会の業績を紹介。當間氏は沖縄芸能の本質を追究し、組踊の国重要無形文化財指定に尽力した功績があると述べた。同会については古謡を地域の行事や催しで上演し、後世に受け継ぐ事業で貢献したと評価した。
八重山広域市町村圏事務組合の理事長の中山義隆市長は祝辞で「當間氏は當壯の愛弟子で、組踊研究では第一人者。数多く受賞しており、當壯は草葉の陰で喜んでいると思う。古謡では若い継承者が少ないなか、同会はさまざまな事業を行い伝承への熱意を感じる」と述べた。玉城デニー知事の祝辞も代読された。
祝賀会では石垣安志市教育長が祝辞を述べ、沖縄国際大学教授の狩俣恵一同賞選考委員会副委員長が乾杯の音頭を取った。余興として同会による「キューガピージラバ」「コイナユンタ」「ヤマバレーユンタ」の歌声が響いた後、飛び入りで狩俣氏がキューガピージラバのメロディの竹富バージョンを披露、会場を沸かせた。
同賞は日本方言研究の先駆者である宮良當壯氏の学問的業績を顕彰し、八重山をはじめとする沖縄の言語・文学・芸能の研究に顕著な業績を上げた人及び、八重山地域の祭祀・文化の継承に大きな役割を果たした団体に贈られる賞。