世界保健機構(WHО)が新型肺炎の正式名称を「COVID―19」に決めた。デトロス事務局長は、特定の国名や地名を連想させることを避けたと説明したが、日本国内では「武漢肺炎」「武漢熱」と呼ぶべきだとする声もある。中国への過度な忖度(そんたく)が批判されるデトロス氏らしい命名だ◆ネット上では、春節で続々と中国人観光客が入国したことが「感染拡大の原因だ」と政府を批判する声がある。米国などと比べ、日本はいまだに中国人観光客の入国規制が緩い。春には習近平国家主席の国賓訪日も控える。強大化した中国に対し、日本が正面から物を言いにくい状況になっているなら、そのことが防疫体制に影を落とした可能性は否定できない◆初の感染者が確認された沖縄も、翁長雄志前知事時代から中国客を積極的に誘致する姿勢が目立った。玉城デニー知事もその路線を引き継ぐ。そのため沖縄本島や宮古の観光産業は、中国への依存度が高まっている◆中国客の購買力は沖縄を大いに潤したが、一方で過度な中国依存は、感染リスク増大と観光客急減の危機をも招く結果になった◆国や県の対中姿勢と感染拡大の因果関係は濃厚だ。「武漢肺炎」「武漢熱」は、その意味でも妥当なネーミングと思える。