どの口が言っているのかと思ってしまう。中国外務省の趙立堅副報道局長は記者会見で、一部メディアが新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と称していると指摘し「極めて無責任で断固反対だ。地域の名前に汚名を着せる言葉は避けるべきだ」と訴えた◆新型コロナウイルスによる肺炎の世界的な流行は、中国が初期の段階で抑え込みに失敗したことがそもそもの原因だ。日本でも最初にウイルスを持ち込んだのは中国人観光客である可能性が高いのだから、中国政府にはもっと責任を自覚してもらなわければ困る◆趙氏は会見で「国際社会は心を一つに協力し、手を携え対応することが人間としての正しい道だ」とも説いた。誰が加害者で誰が被害者なのか分からなくなってしまう◆日本政府は中韓からの全面的な入国制限措置を発表した。中国・習近平国家主席の訪日延期が決まった直後のタイミングである。これでは、今まで入国制限措置が甘かったのは、訪日を控えた習主席への忖度(そんたく)だったのかと邪推されてしまうだろう。日本政府の外交的配慮が国内の感染拡大を招いたとすれば残念だ◆WHО(世界保健機関)の意味不明な命名よりも、この疫病の名称は「武漢肺炎」「武漢熱」が望ましい。今後の教訓のためにも、である。