県は14日、豚熱(CSF)感染を防ぐため、沖縄の希少な固有種「アグー」の離島への隔離を始めた。この日は、フェリーで4頭を泊港から久米島に移送。将来繁殖に使う計約30頭の隔離を計画している。
県によると、沖縄本島の豚約24万頭に対するワクチン接種を始めたが、隔離するアグーには接種しない。2018年12月の時点で、県内にはアグーの純粋種が1100頭以上飼育されている。
当初は50頭の隔離を目指したが、養豚農家への影響を考慮し、約30頭にとどめた。
14日、久米島に移送されたのは東村の農家が飼育するオス4頭。トラック2台に2頭ずつ載せられ、民間のフェリーに積み込まれた。今後、約30頭を複数回に分け、3月中に久米島に移送する。
国は県内の豚熱蔓延(まんえん)を懸念し、1月中旬から「アグー」保護を目的とした隔離を検討。施設整備などの経費を負担した。県は3月上旬に30頭を久米島に移送することを決定した。
久米島には雌雄それぞれ15頭ずつが移送される予定。移送は第2陣が17日、第3陣が19日にそれぞれ泊港を出発する。
豚は生後6カ月から8カ月で、沖縄本島の農家だけでなく、県の畜産研究センターが飼育する個体も移送される。
隔離移送の事業主体はJA沖縄。国の補助金で、久米島施設のセキュリティーレベル向上や消毒用機材の購入に取り組む。気性の荒いアグーに配慮し、1頭ずつ区分けして飼育する。
久米島以外の島に移送する計画もあるが、詳細は未定。
関係者は「JAや農家の協力で進められた。提供してもらった豚をしっかり管理したい。緊急事態なので国の支援もあり、ありがたい」と話した。