石垣市と竹富、与那国両町の八重山郡内の家畜人工授精師の中で授精所の開設届を県に出して許可を得ている人が全体の8分の1に満たないことが分かった。家畜改良増殖法は開設届の提出を義務づけていて、県八重山家畜保健衛生所は違法の可能性があるとみて調査に乗り出す。
衛生所によると、郡内には約250人の授精師が在住し、このうち授精所の開設届を出して許可を得ている人は28人にとどまる。
昨年8月までは17人にすぎず、衛生所が授精師に改善を促した。11人が新たに届を出して計28人になったが、全体的にはなお低調のまま推移している。
同法は授精師が他者の飼育する家畜に人工授精する場合、授精所の開設届を都道府県に出して許可を得るよう定め、無届けなら50万円以下の罰金が科せられる。
250人の中には自分で飼育した家畜に授精する授精師ら法的義務のない人や廃業した授精師らも含まれているが、届け出義務があっても履行していない授精師は少なくないとみられる。
県内では久米島町のブランド牛「安福久(やすふくひさ)」の父子のDNAが一致しない問題が発覚した。衛生所は授精所無届け問題と合わせ、郡内の人工授精が適正に行われているかどうかの調査を実施する。対象者は郡内の全授精師で期間は4~5月としている。
23日は衛生所が郡内の授精師を集め、DNA不一致問題を受けた説明会を開き、授精所開設届の履行など人工授精の適正化を促した。