玉城デニー知事の肝いり政策である万国津梁会議の設置支援業務を受託した業者に県が2166万円を支払ったのは違法だとして、県民有志が知事に公金の返還を求める訴えを那覇地裁に起こし、23日午後、県庁で記者会見した。提訴は19日付。
原告側は、県が事業の進捗(しんちょく)状況に応じて業務委託料を支払うことになっていたのに、事業終了を待たずに契約金の9割が支払われたことを疑問視。事業者が事業の一部しか実施せず、残りは放置していると指摘し、契約を解除しない県の対応は違法だと訴えた。
万国津梁館の設置は本来、県の担当部署が行う業務であり、業務委託の必要性もなかったと主張した。
原告は提訴に先立ち、住民監査請求も起こしたが、3人の監査委員の意見が一致せず、合議不調となったため、提訴に踏み切った。
原告の江崎孝氏は、受注業者の当時の沖縄事務所長と玉城知事、県職員らが会食した様子を写した写真が流出したことに触れ「契約締結前に、発注者と受託者が一緒にいるのはおかしい」と批判した。県議会は当時の沖縄事務所長ら2人を参考人招致しているが、いずれも書面で出席を拒否している。
江崎氏は、当時の沖縄事務所長が知事選で玉城知事を応援したことも挙げ「契約は(選挙応援の)報奨金で、実績もないのに入札なしで随意契約をしたのではないか。知事の職権乱用と背任の疑惑がある」と述べた。原告側によると、5月中旬から裁判が始まる見通しという。