沖縄本島でほぼ連日、新型コロナウイルスの感染確認が続いており、離島の八重山でも徐々に警戒感が高まっている。直近の感染者には東京都への渡航歴がある人が目立ち、本土からの観光客が多い八重山も本島と同様の感染リスクにさらされているためだ。県や石垣市は、空港に乗客の体温を検知するサーモグラフィ設置を要望するなど、水際対策の徹底に神経を尖らせている。
「毎日のように、学生の旅行者がたくさん(八重山に)入っている。飛行機は空席がなく、予約がいっぱいだと聞いた。若い人に発症している人が多いらしく、非常に恐い」
30日に石垣港離島ターミナルで開かれた「2020全国のやいまぴとぅ大会」準備委員会と実行委員会幹事会。竹富町の西大舛高旬町長は、新型コロナウイルスの感染拡大が続く本土から、依然として多数の観光客が来島していると指摘した。
出席者の1人は「(出入国の制限強化で)海外に行けなくなった人たちが八重山に来ている」と推測した。
大都市での流行が本格化すれば、本島、八重山を問わず、国内客に感染者がいる可能性も高まる。専門家は「離島で感染者が出るのも時間の問題ではないか」(県医師会の宮里達也副会長)と危惧する。八重山の感染症指定医療機関である県立八重山病院には感染症用のベッドが3床しかなく、緊急の場合は民間の病院も使用するが、医療体制にも不安が残る。
八重山では現時点で感染者は出ていないが、政府の自粛呼び掛けを受け、屋内でのイベントは多くが中止または延期された。屋外でのイベントも、石垣島トライアスロン大会などが中止になった。
今後は豊年祭のように大勢の人が集まる伝統行事もあり、現在の状況が続けば関係者が対応に苦慮するのは必至。
全国のやいまぴとぅ大会は11月の石垣島まつりと同日に開催されるが、準備委で石垣市の中山義隆市長は「やいまぴとぅ大会が開催できなければ、石垣島まつりも開催できない」と述べ、石垣島まつりが中止される可能性にも言及した。
中山市長は29日のツイッターでは、来県した自民党の岸田文雄政調会長に対し「全国の国内線へのサーモグラフィ設置と発熱者の搭乗拒否ができる法整備を要望した」と明らかにした。