16日に政府が緊急事態宣言を全国に拡大するに及んで、県独自の宣言も時機を逸してしまった。そうした中で感染者の百人突破を迎えたのである。
玉城知事は17日になって、来週にも緊急事態宣言を発する方針を示した。遅きに失している。
県が宣言に踏み込めば、飲食店への営業自粛要請など、厳しい措置に踏み込まざるを得ない。観光客の激減で追い詰められた県経済には追い打ちとなる。
他県と違い、県民の所得水準が全国最低レベルの沖縄では、経済活動の停止は「金か命か」どころか「金も命も」失わざるを得ない危機を招く。知事が厳しい措置を逡巡(しゅんじゅん)してきた理由は、そのあたりにあるのだろう。
だが、疫病が沖縄本島で流行し、離島の八重山まで波及するような状況では、もはや待ったなしである。離島住民として、本島での蔓延を今止めてほしい。今しか止められない。知事のリーダーシップが求められるゆえんである。
県が那覇市で軽症者の療養施設を確保したと発表したのは、感染者が100人に達しようかという状況になった16日であり、しかも収容人数は50人程度という。この動きも遅く、かつ不十分だ。スピード感が求められる。
沖縄本島のメディアでは、記者会見の際、知事が日替わりで着用するマスクが「カラフルだ」と話題になっている。外見ではなく発信内容こそ話題になってほしい。
知事はタレント出身で、基地問題への対応を高く評価され、県民の人気は圧倒的だ。その発信力を生かすのは今だ。