新型コロナウイルスの感染拡大で石垣市が非常事態宣言を出した日の翌日の17日夜、市内きっての盛り場、美崎町は静けさに包まれていた。人影はまばら。大半の飲食店が「休業」の張り紙を出す。複数の感染者を出して感染源のイメージが強まり、客足の遠のいた夜の街は面目を失っていた。
「感染拡大を受け、臨時休業します」「感染予防のため営業を自粛させていただきます」
張り紙を貼ってシャッターを下ろす。数百軒に上る飲食店のほとんどが休業していた。感染者の出た13日以降に閉じた店が多い。
「窮状を根性で乗り越え、お客さまにまた感動を与えられるよう精進します」と張り紙で再起をアピールする店も見受けられた。
夜のとばりが落ちても通りは閑散としている。観光客や仕事帰りの勤め人が飲み歩くいつもの賑わいが嘘のようだ。ネオンも落ち、暗闇に覆われる。パトロール中の八重山署のパトカーも外出自粛を促す相手がいなくて拍子抜けしているようだ。
市内で感染の確認された3人の男女のうち2人の男性が美崎町のバーに勤めていた。感染源のイメージが広まり、客が寄りつかなくなった。
居酒屋「8番地」は1日、他店に先駆けて休業に踏み切った。経営者の川満高司さん(41)は「9割は地元客。店が感染源となって迷惑を掛けられない」と理由を明かす。
数は少ないが、営業を続ける店も。洋食店の1軒は業態をテークアウト専門に切り替えて店を開いている。
経営者男性(48)は「売り上げは20~30%に減り、できれば休業したいが、休業補償が定かでなく、閉じるに閉じられない」と話す。
旅行者が感染源になる可能性があると店先に「観光客お断り」の張り紙をして自衛を図っていたという。テークアウト形式で客との接触を減らし、従業員の感染予防を心がけている。