新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、県が独自の緊急事態を宣言した。既に感染者が120人を超えている状況下では遅きに失したともいえるが、今後は政府の緊急事態宣言拡大や県独自の緊急事態宣言を踏まえ、営業中の店舗に休業要請や休業補償を行うかが焦点になる。玉城デニー知事は20日の記者会見で「庁内で検討して22日に発表する」と述べるにとどめ、この日も県の方針を明らかにしなかった。
県内の感染拡大は、感染者数が1週間に約2倍という急速なペースで進んでいる。感染経路が分からない感染者が半数近くを占め、市中感染も進んでいる。感染者の死亡も3人に増え、状況はウイルスが蔓延(まんえん)する大都市圏に匹敵する深刻さとなりつつある。
県医師会の宮里達也副会長は「流行の段階に入っている。今のペースだと、感染者数は今週中にも200人に達するかも知れない」と危惧する。感染拡大防止に向けた県の取り組みに関しては「県は、でき得る限りのことを立派にやっている」と評価した。
ただ、感染者が120人超に達し、連日新規の感染者が確認される状況では、打つ手は限られているのも事実だ。
県は改正新型インフルエンザ等特別措置法(新型コロナ特措法)にによって、県民への外出自粛要請や他県からの来県自粛要請も「法的根拠を持って、今まで以上に強く要請する」としている。独自の宣言には中小・小規模事業者の支援のための給付金支給方針などを初めて盛り込んだ。テレワークの実施や分散出勤、買い出しの人数や回数制限なども呼び掛けた。
県の給付金などには予備費や国からの交付金を充てる。玉城知事は国が出す給付金や県が出す緊急支援金、県の第2、第3の補正予算に言及。「切れ目なく県民や事業者に支給する」と強調した。
ただ、営業中の店舗への休業自粛要請には踏み込まなかった。玉城知事は「(県民の)関心は高いが、法令で対象とされている施設を基本に検討する必要がある」と指摘。商工労働部に対象となる事業所や業態の割り出しを指示したと説明した。
22日には、緊急事態措置の実施方針を発表する。