「石垣市で感染が確認されてから島の空気が一変した」―。竹富町の離島は、新型コロナウイルスの感染拡大に戦々恐々としている。石垣港から訪れる来島者から「ウイルスを持ち込まれるのでは」と疑心暗鬼になる住民もいる。
石垣市で感染が確認されてから竹富町の島々では、飲食業、宿泊業、マリンレジャーなどの観光関連業は軒並み営業を自粛している。
西表島で観光業を営む大谷修一さん(48)=上原=はカヌーの店を16日から休業した。「5月7日まではひとまず自粛するが、7日以降ももろ手をあげて観光客にウェルカムとは言えないと思う。(ウイルス感染の)第2波、第3波もあるのかと心配が残る。どうすれば八重山の観光が通常に戻るのか。どこまで自粛を続ければいいのか先行きが見通せない」と不安を打ち明ける。
飲食店を休業している40代女性=上原地区=は「不安と緊張の日々。観光で成り立っている島なので、観光客には来てほしい反面、医療崩壊の危険性もあるので気持ちは半々。今は助け合って乗り切るしかない。一度離れた観光客が戻ってくるのかという心配もある」と吐露する。
西表島の世界遺産登録などを審議する予定だったユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は7月に中国で開催予定だったが、延期された。環境省西表自然保護官事務所の竹中康進(やすのり)さん=大原=は「世界遺産登録推進に向け開かれてきた会議も開催できず、今は資料の作成など、できることをやるしかない。新型コロナウイルスが収束した時、登録をスピーディーに進められるよう努力したい」と前を向いた。