東京都が提唱した「ステイホーム週間」も都民の外出自粛を求める標語としてはインパクトがあったが、世代によっては、横文字に違和感を持った人もいたはずだ。島根県が大型連休中、帰省を自粛するよう求めた広告の標語「早く会いたいけん、今は帰らんでいいけんね」は、その点、日本人の心の琴線に触れ、好評だった。県のフェイスブックに多数の「いいね」が寄せられた◆県広聴広報課が、東部の出雲弁と西部の石見弁で新聞広告を作成。「感染のリスクがあるから帰省しないで」という呼び掛けにとどまらない。大切な人を守りたいからこそ、会わないという気持ち、コロナ禍を乗り越え、いつか必ず会えるという希望を、素朴なメッセージとしてつづった◆外出自粛を呼び掛けた熊本市のポスターも面白い。熊本城の写真と共に「籠城(ろうじょう)じゃ」というキャッチコピーで、大西一史市長は「ステイホームも加藤清正公ならこう言ったでしょう」と説明した◆誰もが名前を知る戦国武将のイメージを借り、外出自粛がウイルスを撃退するための有効な戦法であることをアピール。こちらも大勢の人たちから共感の声が上がった◆島根も熊本もウイルスとの戦いでは善戦しているが、こうした心理戦の巧みさもポイントかも知れない。