一部飲食店が営業再開 市は「フライング」と困惑 美崎町

飲食店経営者(右)に感染予防を促すチラシを配る市職員。この店は市の方針に従って11日に店内飲食を再開する=7日午後、美崎町

 新型コロナウイルス感染拡大で、石垣市の飲食街、美崎町の一部の飲食店が7日、営業再開に踏み切った。市は「再開容認は11日以降」との姿勢で困惑を隠さない。急きょ感染予防策を呼び掛けるチラシを各店に配ったが、店側は「これ以上の休業は経営的に限界」と訴え、両者の立場の違いが浮き彫りになっている。

 17軒の飲食店が入る飲食店ビル「石垣島ヴィレッジ」。7日午後、数軒を除き一斉に営業を再開した。前日に入居店経営者が集まって決めたという。路面店にもシャッターを開ける店が見受けられる。
 午後6時前、市の職員が美崎町を巡回し、開店した店にマスクの着用や店内消毒、「3密(密閉、密集、密接)」の回避の徹底を促すチラシを配布した。大人数での入店制限、地元客と観光客の混在を避ける対策も求めている。
 いずれも前日に中山義隆市長が記者会見で飲食店が営業再開する際の注意点として述べた内容だ。市長は「営業再開は11日以降」を条件に再開を容認している。
 11日に設定したのは市内で4人目の感染者が確認された4月25日を起算点にウイルス潜伏期間を加え、「安全圏」と見なせることを根拠にしている。市内の小中学校が授業を再開する日にも合わせた。
 市には7日の営業再開は「フライング」と映る。小切間元樹企画部長は「好ましい状況ではないが、市に営業規制の権限はなく、せめて感染予防策の徹底を呼び掛けた」と話す。
 一部店舗が営業再開に踏み出する情報が市に届き、チラシ配布を前倒しして実施したという。
 市内の飲食店は美崎町を発生源に3人目の感染者の出た4月13日を機に全面的に休業に追い込まれた。休業期間が1カ月近くに長引き、経営的な打撃が深刻さを増している。
 店を開いた居酒屋の店長(30)は「感染防止を最優先に考える市の立場は理解するが、こっちも限界。予防を徹底した上で再開せざるを得ない」と語る。別の店の関係者は「休業要請はするのに補償はせず、筋が通らない。このままでは市内の飲食業が死んでしまう」と訴えている。

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