尖閣諸島周辺の領海内で操業中の地元漁船が、中国政府が派遣した船に安全を脅かされる異常な事態。中国が尖閣周辺で活動を着実に活発化させている実態が浮き彫りになった。2013年には八重山日報の記者が石垣港から出漁した漁船に同乗し、尖閣周辺の領海内で中国公船に包囲されたこともある。日本の領海内で平然と危険行為を繰り返す中国政府の体質は、7年後の現在も、いささかも変わっていない。
石垣市議の仲間均氏は、たびたび尖閣周辺に出漁しており、2012年の尖閣国有化以降は、5回ほど中国公船の追尾を受けた。領海内で中国公船に包囲され、海上で一夜を過ごした経験もある。
13年5月、八重山日報の記者が仲間氏の漁船に同乗した際には、中国公船3隻が漁船に異常接近し、体当たりするようなしぐさを見せるなど、危険行為を繰り返した。そのつど警護に当たっていた巡視船が割って入り、中国公船を阻止した。
仲間氏によると、中国が尖閣周辺で警察権を行使したとアピールするため、公船は当時から、日本漁船の拿捕(だほ)や乗組員の身柄拘束も念頭に入れて危険行為に及んでいた可能性がある。
仲間氏は「中国は本気で尖閣諸島を取りに来ている。南沙諸島でも、最初は周辺海域から漁船を追い出し、最終的に軍が入ってきた。全く同じ手法」と話した。
尖閣周辺での中国公船の航行日数、延べ隻数は、今年に入り過去最多ペースで、着実に常駐体制を構築していることが分かる。習近平国家主席の国賓訪日を控え、日中関係は安定化の方向だが、尖閣周辺では、中国はむしろ攻勢を強めている。
外務副大臣などを歴任した佐藤正久参院議員は9日「中国機へのスクランブル発進や南シナ海での力による現状変更、東シナ海ガス田問題も。このような環境下で、習近平主席の訪日は無理、主権侵害は重大」とツイートした。