29日告示、6月7日投開票の県議選まで1カ月を切ったが、石垣市区(定数2)では新型コロナウイルス感染拡大の影響で、無所属現職の次呂久成崇氏(46)、自民現職の大浜一郎氏(58)の2陣営とも活動は停滞しており、後援会事務所は事実上の休止状態に追い込まれている。選挙ムードが低調な中、予定候補者の政策や実績をどう浸透させればいいのか、異例の事態に両陣営とも困惑を隠せない。
石垣市区で現在、立候補を表明しているのは共に2期目を目指す次呂久氏と大浜氏のみ。新型コロナウイルスの影響で後援会事務所の設置直後からほとんど会合や集会を開けず、市の緊急事態宣言後は、それぞれ事務所を一時閉鎖した。現時点での活動はチラシ配布程度にとどまっている。
選挙関係者は「この時期に集会を開いたりすると、ひんしゅくを買う。かつて経験したことがない事態」と頭を抱える。
次呂久氏の事務所は7日から限定的に再開したが、常駐の事務員1人のほか、支持者の出入りはほとんどない。担当者は「3密を避けるため、今後、参加者が数人程度の規模に限定して会合を開くことを考えている」と話す。
大浜氏の事務所は9日の時点で閉鎖されているが、11日をめどに再開する方針。ただ当面、本格的な活動は難しいとの認識だ。
大浜氏は30日、自民党第4選挙区支部長の西銘恒三郎衆院議員とともに街頭演説を予定しているが、実際に行うかどうかは今後、状況を見て判断する。
両陣営とも個人演説会は開催する方向だが、日時は未定で、会場も決まっていない。それぞれ、支持者と新型コロナウイルス対策に関する意見交換を進めており、当面は有権者に対し、感染防止や経済対策の取り組みをアピールしたい考え。
一方、現時点で2人以外に立候補の動きはなく、無投票の可能性も高まっている。ただ両陣営とも「選挙はあるものと考えている」などと警戒を緩めない。
次呂久氏は取材に「有権者と接することができない中で、政策をどうアピールすればいいのか悩ましい。今は各業界から意見を聞き、新型コロナの影響を受けた事業者への休業補償などを県の第二次、第三次補正予算に反映できるようにしたい」と意気込んだ。
大浜氏は取材に「告示までは支持者を集めることもできないだろう。新型コロナ問題で、離島の医療態勢が整っていないことを肌で感じたので、医療物資を含めた態勢整備を政策に反映させる。経済の立て直しにも早急に取り組みたい」と強調した。