字名に〝尖閣〟明記へ 6月議会に議案「準備整った」

 石垣市は、尖閣諸島の字名を現在の「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を9日開会する市議会6月定例会に上程する。尖閣諸島は登野城2390~2394番地だが、字名に「尖閣」を明記することで、市街地の住所と混同されて起こる事務的なミスを防ぐ。尖閣諸島を巡っては、周辺の領海内で与那国町漁協所属の漁船が中国公船に追尾されるなど、日中間の緊張が高まっている。中山義隆市長は「準備が整ったので議案を出す」と述べ、字名変更のタイミングと尖閣情勢は無関係との認識を示した。

 市によると、尖閣諸島の住所は字名だけでは市街地の住所と区別できないため、過去、誤って同じ住所での住民登録を受け付けたケースがあった。
 市は2017年に検討委員会を開き、行政事務の効率化を図る観点から、字名に「尖閣」を明記する方向性を固めていた。
 市議会では「尖閣諸島を守る会」の代表世話人を務める仲間均氏が、尖閣諸島の実効支配強化に向けて字名変更を要望。市議会は18年6月に字名変更を求める決議を賛成多数で可決した。
 市が字名変更の議案を提出するのは検討委設置から3年越しになる。議案提出が遅れた理由について、日中関係に配慮した政府の意向が背後にあるとの憶測も出たが、中山市長は取材に対し「(理由は)特にない」と話した。
 字名変更を02年から求め続けてきた仲間氏は「尖閣の名前を字名に出して、日本固有の領土であることをしっかり国民に認識させるべき。漁業者の安全操業を含め、毅然とした対応を取らなくてはならない。中国が尖閣に対して攻勢をかけている今しかない」と指摘し、市の決定を歓迎した。
 字名変更には議会で多数を占める与党も賛同しており、議案は可決の見通し。
 ただ4日の議会運営委員会では、野党の市議から「台湾、中国に石垣市の行動がどう映るか検討したのか」と危ぶむ声が上がった。野党は反対に回る可能性が高い。

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