「冥福を祈る」という言葉の虚しさを改めて感じた人は多いはずだ。北朝鮮による日本人拉致被害者、横田めぐみさん=当時13歳=の父・滋氏が5日、亡くなられた。めぐみさんは今、55歳だ◆余りにも拉致事件に無関心ではなかったか。人にも己にも言っている。学生時代、東京上野で署名活動を目にしたが、私は素通りした己を知っている。親子の再会を阻んだのは、このような国民の何気無い行動である◆日本国は何をしたか。金である。国民を拉致した国家に金で解決を図ろうとした。犯罪国家には経済制裁と自衛権行使の武力が必要だ。話し合いで解決できると信じる人は、立てこもり犯がわが子を人質にしてなお、「警察力は金と口だけで良い!」と主張する覚悟はあるのだろうか◆滋氏の思いは私の想像力では追いつかない。想像の範囲で「できること」をするしかない。ブルーリボンバッジの着用。救う会や特定失踪者問題調査会への寄付。ユーチューブの救う会TVでの学び。首相官邸へのメールなど◆武漢肺炎で生活自体が困難となった。しかし多くの国民が「できること」を考え動いた。拉致被害者と家族の思いを形にする行動も同じである。まず己に言う。冥福、すなわち「死後の幸福」など祈らせてもらえないと思え。 (S)