「自分たちが目標にして入学当初から頑張ってきた全国。行けるメンバーだったけど、大会自体がなくなってしまい、切り替えが大変だった」
7日午前、市役所周辺のゴミ拾いを終えた石垣第二中学校女子バレー部の許田恵冬部長(14)はこう明かす。
同部3年生10人が週一回の清掃奉仕活動を始めてから2カ月。
第51回琉球放送旗争奪中学校新人バレーボール大会で全勝し、八重山勢としては初の優勝を獲得。九州大会進出を決め、地元からも多くの支援があった。
3月下旬、新型コロナウイルスの影響で大会は中止、全国出場も閉ざされた。
「全中に行くために、いろんな人に支援してもらった。その恩返しのために」
目標を失いながらも、地元からの応援、支援への感謝を忘れず、清掃奉仕を続けている。
2018年夏、県中学1年生バレーボール大会で優勝するなど、全国レベルのメンバー同士で切磋琢磨してきた。
「私自身、全国がなくなり、切り替えられない気持ちがあった。でも、メンバーが次に向かって頑張っている姿を見て、私も頑張ろう、と」
それでも切り替えられない気持ちと向き合おうとするのは、意志を継ぐ後輩たちがいるから。
「自分たちが2年生の時は1年生がいなかったけど、3年生になって14人も入部してきた。彼女たちを全力でサポートしたい」
外部コーチの上地みかさんに伝えたいことがある。
「小学校からずっと指導してもらったからこそ、全国にも行きたかった。ずっと指導してもらった分、ありがとう、と言いたい」
感謝を胸に恩に報いようとする10人は、清掃奉仕を通じて、ひたむきに自己と他者とに向き合っている。