「アベノマスクはまだだが、ニシオオマスクは届いた」。竹富町のお年寄りの間で話題になっている。1世帯2枚の政府配給マスクが町内にまだ行き渡っていないのを尻目に、西大舛高旬町長の呼び掛けで町が高齢者に1人30枚を配ったマスクは早々と届いた◆町の新型コロナウイルス対策は素早い。1人10万円の特別定額給付金では申請受け付けが県内市町村で1番早かった。感染防止を目的に事業者に上限30万円の協力金を支払う独自の制度も打ち出している◆コロナ関連の経済対策は機敏さが生命線だ。休業に追い込まれた事業者、職を失った労働者に早くお金を渡さないと、自ら命を絶つ人が出かねない。政府がもたもたしていると批判を受けているのをよそに、町は小回りを利かせて迅速に対応している◆町長が「スピード最優先」と職員にハッパを掛けていると聞く。尻をたたかれている部下は大変だが、町民にとっては頼もしい◆町長は石垣市で感染者の出た4月の記者会見で「町の島に来るな」と強い口調で旅行者にくぎを刺した。高齢化率が高く、感染したら命を落とす危険に直面する町民の不安を代弁したのだろう。 (I)