尖閣諸島海域に出漁した八重山漁協所属の漁船「桜丸」「恵美丸」が22日午前、石垣島の登野城漁港に戻った。乗組員によると、21日に尖閣周辺の領海から離れた際、尖閣諸島周辺にいた中国公船4隻に約4時間追尾されたという。海上保安庁の巡視船が漁船を警護し、乗組員にけがはなかった。
2隻は21日早朝に尖閣諸島魚釣島の南側海域に到着した。中国公船は4隻とも既に周辺海域で待ち構えており、乗組員は「(漁船が出漁するという)情報が中国側に入っていたようだ」と話す。
漁船2隻はアカマチなどを釣り、周辺では10隻以上の巡視船が警戒していた。2隻が漁を終えて石垣島方面に動き出すと、中国公船が2隻ずつに分かれ、漁船を挟み撃ちにするような態勢で追尾を始めた。巡視船が間に割って入って中国公船の接近を防ぎ、漁船をガードした。
第11管区海上保安本部によると、漁船が追尾された海域は領海外側の接続水域。この日、中国公船4隻の領海侵入はなかった。4隻は漁船2隻が去ったあとの22日、南小島周辺で領海侵入した。
中国公船が追尾をやめたあと、2隻は石垣島周辺海域でさらに釣りを続けた。釣果はアカマチ55㌔のほか、キハダ、メバチ、カツオなどだった。「恵美丸」は午前8時ごろ、「桜丸」は同10時ごろに登野城漁港に着いた。
「恵美丸」に乗り組んだ砂川幸徳さん(55)は「海保にはお世話になった」と漁を振り返り、尖閣周辺で操業する漁業者が中国公船に脅かされる現状について「おかしい。中国公船が来れないような態勢をつくってほしい」と話した。