米国で白人警官による黒人男性暴行死事件の余波が続いている。奴隷制に絡む像などを黒人差別の象徴として引き倒す姿が映像で流れているのを見て、以前、同様のことがあったことを思い出した◆2006年、台湾の民進党政権が推し進めた「脱蒋化」である。中国から台湾に渡った直後に発生した国民党政権による民衆弾圧「2・28事件」で、最高指導者だった蒋介石の加害者責任を追及。政権は台湾全土に設置された数万体といわれる蒋介石の銅像を撤去する動きを支援した◆その現場を目撃したことはなかったが、像が一カ所に集められていた様子を見たことがある。立像あり、座像あり、さまざまな像があり、銅像の墓場のようだった。神格化された蒋介石は文字通り地に墜ちていた◆国民党独裁政権は1987年まで続いた。中国大陸で成立した国民党は、今でも正式名称は中国国民党である。中国共産党と戦い敗れたが、両党はよく似ている。一党独裁、中央集権的な党運営など。かつて国共合作を2度行って手を組んだこともある◆現在の民進党は国民党独裁に、民衆が抵抗する形で成立した。世界の独裁政権のほとんどは、民衆の力で倒されている。蔡英文政権2期目を許し、支持率の低下した国民党は岐路に立っている。 (O)