沖縄振興開発金融公庫八重山支店(前村司支店長)の新型コロナウイルス関連融資の申し込みが1月27日から5カ月で116億円に達し、2018年度の融資総額の約2倍になった。3日、同支店が発表した。幅広い業種で資金需要が高まっており、新型コロナウイルスの経済的影響が広範囲に及んでいることをうかがわせている。
沖縄公庫は1月27日に新型コロナ関連融資の相談窓口を設置。八重山支店では6月28日までに、融資申し込みが594件で116億円、うち融資決定は583件で111億円となり、進ちょく率は約98%に達した。
同支店の18年度の融資総額は約57億円だった。緊急事態宣言が発令された4月以降、融資申し込みが急増したという。同支店は融資担当者以外の職員にも融資関連の業務を兼務させるなど、受け付け態勢を強化し、迅速な融資決定に努めた。
融資を希望する業種は宿泊、飲食、マリンレジャーなど観光関連業にとどまらず、建設業、医療・福祉関連などにも及んだ。外出自粛の影響でデイサービスの利用者が減少したケースなど、多様な業種に経済的打撃が広がり、特に運転資金の需要が高まっているという。
同公庫は「緊急事態宣言後の不安心理で申し込みが殺到したようだ。解除後は少し落ち着いているが、第2、3波の懸念もある。今後も緊張感を持ち、地域の資金需要に対応したい」としている。
同公庫全体では、6月28日までの融資申し込みは9675件で2051億円、融資決定は8807件で1661億円、進ちょく率は91%。実際の融資に至った件数は7132件で、東日本大震災(423件)、リーマンショック(347件)を大きく上回っている。
相談窓口に対応する人員は平時の58人から、兼務体制により154人に増強し、複数の審査ラインを設けるなど、処理の迅速化を図った。補正予算後の事業規模は1兆1555億円で、当初予算の7・2倍に達した。