詩人・島崎藤村の叙情詩「椰子の実」の再現を目指し、石垣島沖からヤシの実を流して愛知県田原市の伊良湖岬・恋路ケ浜への漂着を試みるヤシの実投流事業「愛のココナッツメッセージPart33」(主催・渥美半島観光ビューロー)が6日、行われた。新型コロナ予防のため、例年来島する愛知県田原市のツアー客は参加せず、石垣市観光交流協会(大松宏昭会長)役員やミス八重山らが代理として、40個のヤシの実を流した。
今回は、離島ターミナルから北西に15㌔ほどの洋上で識別プレートのついたヤシの実40個を投流。今回で投流累計3640個となった。
同協会によると、例年100個前後を流しているが、ヤシの実の仕入れ先であるフィリピンの業者が倒産したため、今回は40個に限定したという。
毎年参加している田島信一さん=大川=(83)は「ぜひ恋路ケ浜にドンピシャと着いてほしい」と笑顔。
第41代ミス八重山の新里穂乃花さんと掘井紗らさんは「40個のヤシの実が目的地に到着することを願って流した」と、投流に思いを込めた。
流したヤシの実が鹿児島県以北で拾われた場合、同ビューローが発見者と投入者の数組を田原市の伊良湖岬へ招待し、毎年感動的な対面が生まれている。
今回の対面式は来年4月を予定している。
これまで愛知県には計4個漂着しており、2001年に渥美町和地海岸で1個、12年に田原市日出町で1個、田原市越戸町で2個発見されているが、恋路ケ浜への漂着はまだない。
同事業は「名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実一つ」で始まる島崎藤村の詩を再現しようと1988年から実施している。