「第2波」の懸念強まる 検査拡充で感染拡大阻止へ 新型コロナ

到着客をサーモグラフィで検温し、新型コロナウイルスへの注意喚起チラシを配布する県職員=9日午後、新石垣空港

 観光客の受け入れが本格的に再開され、観光関連業を中心に経済が再び活発化する中、沖縄本島と石垣市で約2カ月ぶりに新型コロナウイルスの新規感染者が確認された。東京でも連日多数の感染者が確認されるなど「第2波」到来への懸念が強まっている。県と石垣市は、検査体制の拡充で感染拡大を阻止する構えだ。

 石垣市では4月28日までに4人の感染者が出ており、当時は症状がある人から採取した検体を沖縄本島で検査する必要があった。約2カ月ぶりに5人目の感染者が確認されたが、現在は県立八重山病院にもPCR検査機器が導入され、検査結果の判明がスピーディになった。
 市によると、検体採取が午後2時までであれば即日、約2時間で結果が出る。抗原検査も実施可能で、PCR検査より精度はやや落ちるものの、約30分で結果が出るという。
 中山義隆市長は9日の記者会見で「できる限り早く濃厚接触者を確定し、感染の拡大を阻止したい。検査体制を整えていく」と強調。市によると、同病院では1日10人程度の検査は可能という。
 八重山保健所も、濃厚接触者については症状の有無にかかわらずPCR検査を行い、陰性であっても健康観察を実施する方針を示す。
 県医師会の宮里達也副会長は「『第2波』が来るかどうかは様子を見る必要はあるが、いずれにせよ感染者が出れば一気に広がる可能性はある。感染者の周囲で検査を積極的に行うことで、流行を阻止するほかない」と指摘する。
 市は6日から新石垣空港の水際対策を強化。職員2人を常駐させ、サーモグラフィと体温計の検温で37・5度以上の到着客には、例外なくPCR検査を受けるよう求めている。9日午後5時時点で、PCR検査に至った到着客はいない。
 ただ、検査体制の拡充による感染拡大防止にも限界がある。PCR検査の要請は市の新型コロナ対策条例に基づいて行うが、強制力はない。また、無症状の感染者がいる場合もあるため、水際対策では「100%阻止はできない」(中山市長)。
 これから夏の観光シーズンが本格化し、島外からウイルスが持ち込まれるリスクは高まる。宮里副会長は「高齢者など、重症化する可能性の高い人にうつさない努力が必要」と求めた。
 県は新型コロナの警戒レベルを4段階に区分。感染者が2カ月ぶりに発生した現在の段階を「第1段階(発生早期)」と位置付けた。第1段階では「3密」回避を徹底した上での外出や、体調不良者が離島へ渡航することの延期を呼び掛ける。

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