国の名勝川平湾への入口となっている市道川平4号線が長期間、車両通行止めになったため、周辺事業者から「売り上げが落ちた」などと不満の声が上がっており、石垣市は15日、近く暫定的に車両通行止めを解除する方針を固めた。この件を巡っては、周辺事業者の1人が近接する市有地に無断で事務所を設置し、市から撤去を要求される事態に発展している。
周辺一帯は川平風致公園。市は公園整備事業として、2007年度から22年度まで、総事業費約11億4100万円を投じて遠路、トイレ、駐車場、広場などを整備する計画を進めている。
川平4号線は川平湾の入口で、多数の観光客が訪れる上、工事車両の出入りもあって交通の危険があると判断され、市は約2年前に車両通行止めとした。
市道の隣接地では駐車場、トイレ、駐輪場が完成し、現在は工事車両の出入りはないが、市の判断で車両通行止めは継続している。
これに対し、市道沿いで営業する業者など業者は今月上旬、連名で市に車両通行止めの解除を求める要請書を提出した。
要請書を取りまとめた業者は「(通行止めで)周辺に人の出入りがなくなり、売り上げが激減した。今はコロナ禍でさらに人が減り、ひっ迫した状況」と訴え「観光地の入口が閉鎖されているのはイメージダウンにもつながる」と市道の早期「開放」を訴えた。
市道の車両通行止めを巡り、トラブルも起きた。市道沿いで営業しているグラスボート業者の1人は、車両通行止めで売り上げが減ったため、川平湾への別の入口である駐車場付近の民有地に券売所を移転した。
しかし賃借料が高騰したため今年2月、契約を解除し、市に無断で、隣接する市有地に券売所を移転した。
取材に対し「市道の通行止めが解除されれば、券売所を元の市道沿いに戻す。私たちも市役所の被害者だ」と話した。市施設管理課は「近く文書で撤去勧告する」としている。
都市建設課は、現在の駐輪場に来年度から周辺事業者が入居可能なテナントを整備する方針を示し「コロナの問題もあって観光客数は落ち着いている。テナント整備まで、暫定的に通行止めを解除する方向で調整する」と説明した。