石垣市の中山義隆市長は20日、観光客から新型コロナウイルス感染者が出た場合の再度の来島自粛要請について「基本的には出す考えはない」と述べた。「しっかりと感染防止対策を取った上で経済を回さないといけない」と指摘した。この日は観光業関係者らを対象にした新型コロナ対策確認会議が市民会館大ホールで開かれ、中山市長らが参加者の質問に答えた。
市は4月、感染拡大防止のためとして、政府の緊急事態宣言直前に観光客に来島自粛を要請した。中山市長は「今は新型コロナの知識や感染の仕組みがだいぶ解明されてきている」と述べ、当時とは状況が異なるとの認識を示した。
仮に観光客に感染者が出た場合は、濃厚接触者を早期に特定し、PCR検査を徹底して感染拡大を止める考え。ただ市中感染が広がった場合、何らかの対応を要請する可能性は否定しなかった。
政府が感染防止対策で推奨している感染者との接触通知アプリ「COCOA(ココア)」で、感染者との接触が通知された人については「優先的に検査を受けることになる」と述べた。検査料金を市が負担する方向で調整していることも明らかにした。
感染者との接触は不明だが、観光客に接客する職業の人が2日連続して症状が出た場合に関し、市産業医の境田康二氏(かりゆし病院長)は「検査をやったほうがいいという意見を八重山病院と共有している」と報告した。
参加者からは、石垣島への旅行を取りやめた観光客について「キャンセル料金をいただかないことも大事な予防策ではないか」という声が出た。
市側に同席した八重山ダイビング協会の安谷屋正和会長は「GO TO トラベル」の東京除外を受け「東京からのキャンセルが40件くらいあったが、キャンセル料は取っていない」と応じ、観光業界としてキャンセル料を徴収しないことが望ましいと強調した。
石垣市観光交流協会の西仲野正巳事務局長は、歓楽街・美崎町の「3密」対策を徹底するため、関係機関・団体と連携し、居酒屋などに対しチラシ配布などの啓もう活動を実施する考えを示した。
対策確認会議は23日から始まる4連休を前に、感染防止対策を徹底しようと市が開催した。市や観光関連団体の代表と、市の呼び掛けに応じた約80人が参加した。市は17日には、観光関連団体の代表を集めた対策確認会議を開催していた。