6月は石垣市の経済にとって「下げ止まり」の月になった。新型コロナウイルス感染拡大で落ち込む一方だった入域観光客数が増加に転じ、地元産黒毛和牛の価格も下落傾向に歯止めを掛けた。近く発表される新規求人数も回復の兆しを見せる◆6月1日に市が観光客の受け入れを再開した効果だ。観光が中核産業の市にとって観光客が増えたら経済が回る。和牛の消費も伸び、企業も人を雇う経済的余裕が生まれる◆下げ止まりを見せたと言っても前年に比べたら目を覆うばかりだ。観光客数は前年同月の5分の1にすぎない。他の経済指標もお先真っ暗の数字が並ぶ。全国的にも8月に明らかになる4~6月のGDPの成長率は戦後最低のどん底に落ちる◆秋以降、これまで経験したことのない世界的な大不況に陥るだろう。観光産業支援の切り札「GoToトラベル」も「焼け石に水」と悲観的にならざるを得ない。V字回復とはならず、「ルート記号」の反対向き程度にとどまると見られる。終わりの見えにくい正念場が続く。(i)