県は30日、石垣市で新たに6人が新型コロナウイルスに感染した、と発表した。石垣市の中山義隆市長は同日夜、市役所で記者会見し、6人が美崎町のキャバクラに勤務する20~30代の女性で、既に感染が判明している福井県の観光客を接客していたと明らかにした。同店でクラスター(感染者集団)が発生したとの見方も示した。石垣市の感染者数は11人になった。
6人の感染は、石垣市の1日当たりの新規感染者数としては過去最多。今後、さらに感染が拡大する恐れがあり、県と石垣市は警戒を強めている。
県、市によると、感染が判明している福井県の観光客6人は23日から25日まで3日間、同店を利用した。福井県からの連絡で八重山保健所が同店の接触者を特定し、30日、抗原検査で従業員6人の感染が判明した。
6人には無症状者もいるが、有症状者は28日ごろから発症しているという。ただ、店名について中山市長は「八重山保健所も発表していない」として公表しなかった。
同店は地元在住の利用者については顧客管理を行っており、今後、同店から感染者が出たことを連絡する予定だという。
県立八重山病院の感染症用病床は9床あるが、6人の感染者が出たことで、半分以上埋まることになる。中山市長は「県は宿泊施設を早めに手配してほしい」と求めた。
市産業医の境田康二氏(かりゆし病院長)は「今後、6人の濃厚接触者から、ねずみ算式にどんどん増える可能性がある」と危機感を示した。
福井県の観光客は26日から発症していた。境田氏は「発症の2日前から感染力が高まる。(キャバクラで)3密状態が作られ、若い人に感染が広がった」と分析。福井県の観光客の感染経路については「(ウイルスを)沖縄から福井に持ち込んだように発表されているが、確率的には(他県から)沖縄に持ち込まれたと見るべきだ」と指摘した。