石垣市は4日、新型コロナウイルスの感染者が出た美崎町の2店舗名を独自の判断で公表した。このうち1店舗については同意を得ておらず、公表しない姿勢を崩していない県と対応が割れた。店舗名公表は本来は県の業務だが、中山義隆市長は記者会見で「市民や観光客の健康と命を守るために判断し、店舗名公表に踏み切った」と説明した。
感染者が確認された2店舗は「石垣島キャバクラAクラブ」(美崎町10―4テレコムビル1階)、ショーパブ「ショーラウンジ舞」(美崎町11―1ビートビル2階)。
市、県によると、クラスター(感染者集団)が発生した「Aクラブ」は、店舗の張り紙で感染者が出たことを告知。地元の顧客に対しても個別に連絡している。ただ、県が店舗名を公表することに対しては一貫して応じない姿勢だという。
「舞」の店舗名公表に関しては同店の同意を得た。
厚生労働省は7月28日、クラスターが発生し感染拡大の恐れがある場合、関係者の同意を得ずに店舗名や感染者の行動歴などを公表できると通知した。
クラスターの発生確認以来、市は通知も根拠に、県に店舗名の公表を求め続けているが、県は「店舗の同意を得られていない」として応じていない。
石垣市の天久朝仁市民保健部長によると、独自の公表に踏み切った市の判断に対し、県は「八重山保健所としては店舗名は公表できないが、市の公表は止めない」という姿勢だったという。
中山市長は「Aクラブ」が張り紙などで感染者が出たことを告知していることに言及し「公表していることと同じ」との見方を示した。
その上で、可能な限り早く店舗名を公表すべきとの考えを示し「市中感染が拡大することは避けなくてはならない。県はルールに従って対応していると思うが、一番大事なのは感染拡大を止めることだ」と間接的に県の対応を批判した。
さらに市民に対して、店舗への問い合わせや従業員など関係者への差別的対応、感染者の特定などを行わないよう呼び掛けたほか、風評被害の生じないようSNS上での発信を行わないよう求めた。