石垣市議会(平良秀之議長)は臨時会2日目の13日、市が新型コロナウイルスの経済対策として提案したプレミアム付き商品券発行の事業費2億7000万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を賛成少数で否決した。事業に対して与野党から疑義が相次ぎ、午前中に予定されていた開会が午後5時ごろにずれ込むなど、審議は空転した。
商品券は1万円で、1万5000円分の商品を購入できるプレミアが付くが、野党や与党の一部から「1万円も払えない経済的弱者への配慮がない」と批判が出ていた。
この日の総務財政委(砥板芳行委員長)で市は、事業内容の修正案を説明。非課税世帯やひとり親世帯などの低収入世帯の場合、1万円で商品券を購入するか、1世帯につき5000円分の商品券を受け取るか選択できることにした。
一方、野党は「非課税世帯かどうかは秘匿性が高い情報だ」(花谷史郎氏)として、非課税世帯対象に事業を実施することが個人情報保護に抵触する可能性を指摘。事業実施前に、審議会に諮る必要はないのか確認を求めた。
審議の中断後、庁内での協議を終えた小切間元樹企画部長は「(非課税世帯に関する情報は)個人情報の使用に関する庁内の手続きを踏んだ上で、適切に使用する」と答弁。しかし野党は「この事業のやり方に疑問が出ている」(内原英聡氏)と納得せず、事業内容の練り直しを求めた。
与党からも「(事業の)中身は賛同するが細かい部分の制度設計に疑義がある」(石垣亨氏)と市に再考を促す声が出た。採決では、与党からも2人が反対に回り、予算案は賛成1、反対5で否決された。
本会議で砥板委員長は「基本的には議案の趣旨、目的は理解でき、賛同できる」と述べ、疑義を解消した上での再提案を求めた。
本会議の採決では野党9人と、与党の石垣亨氏、箕底用一氏、後上里厚司氏が反対に回り、予算案は賛成9、反対12で否決された。
反対討論で宮良氏は「個人情報保護に抵触するようなことは看過できない」と批判。ただ「(事業の)中身や目的は賛同する」と述べた。
与党からは仲間均、長山家康、友寄永三の3氏が賛成討論。「事業内容は市民が納得できる内容に修正された。弱者に配慮され、実効性、公平性を保てる」(仲間氏)などと訴えた。