竹富町の発行する「島々応援クーポン券」の性質が変容した。発売当初は新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた地元観光業者を支援する目的だった。主な販売対象は石垣市民で町内の各島に来てクーポンでお金を落としてもらう絵図を描いた◆ところが、西表島でコロナの集団感染が起き、出はなをくじかれた。市民の間に来島を見合わせるムードが広まり、クーポンの売れ行きが鈍った◆市民の購買意欲がしぼむのに取って代わるように竹富町民の需要が高まる。自ら買って地元の飲食店で使うケースが出始めた。経営不振になった地元業者が給料の一部としてクーポンを従業員に渡す涙ぐましい使用例もあったと聞く◆観光業者のてこ入れを図ろうと始めたのが次第に町民の生活支援の色合いを帯びるようになった。「外貨稼ぎ」が「内需刺激」に変わった◆そこで1つ問題が浮かび上がる。クーポンを買える所は石垣市にある町観光協会1カ所。もともと販売対象を市民に絞っていたから販売窓口は市内に置いた。町民からは町内各島での販売を求める声が寄せられている。もはや最大の購買者となった町民の要望に町はどう応えるだろう。(I)