アンガマ 各地で中止へ 戦没者供養する青年会も 旧盆

例年、旧盆期間中に青年会が家々を回るアンガマ。今年はほとんどが中止になった=2018年8月、新川

 石垣島独特の旧盆行事アンガマが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年はほとんどの地域で中止されることが分かった。アンガマは各地域の青年会が開催しているが、例年、大勢の地域住民や観光客でにぎわうため「3密」になる恐れが大きいと判断した。ただ、今年は戦後75年の節目に当たり、通常のアンガマの代替行事として、戦没者を供養するアンガマを計画している青年会もある。今年の旧盆は31日から9月2日まで。

 八重山では新型コロナの影響で、各地域の豊年祭も中止または縮小を余儀なくされている。また一つ、季節を彩る伝統行事を見ることができなくなる。
 各地域では今年、例年通りアンガマを行う予定の青年会はない。規模を縮小し、少人数で1日だけ実施する方向で検討している青年会もあるが、人が集まることを防ぐため、時間や場所は公表しない。
 中止を決めた青年会のうち、登野城青年会の宮良長亜会長(30)は「開催すると島外から帰省する大学生や地元の高校生も参加することになり、感染の危険が大きくなる。地域住民や観光客が集まると、呼んでくれる家の負担も大きくなる」と説明。「新型コロナの感染が拡大している現状では『伝統を取るか、命を取るか』になってしまう。苦渋の選択」と強調した。
 石垣字会の長老、石垣英忠さん(88)によると、字石垣では戦中戦後の混乱期などを除き、アンガマが中止された例はほとんどないという。「(新型コロナは)人混みでうつる病気なので、仕方がない。命には代えられない」と話した。
 いしゃなぎら青年会は通常のアンガマを中止する一方、戦後75年を記念し、旧盆中日の9月1日に、戦没者をまつる八重守之塔で供養のアンガマを行うことを決めた。
 内原英彦会長(25)によると、戦没者供養のアンガマは、少人数だけの参加で15分程度を予定している。舞踊を1~2点披露するが、アンガマの特徴であるとんち問答などは省略する。
 アンガマは、あの世からやってきた祖先とされるウシュマイ(爺)とンミー(婆)がファーマー(子や孫)を引き連れて家々を回る伝統行事。例年は旧盆の3日間行われる。

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