安倍首相が辞意を表明した。持病が原因で辞したとされる第一次、それを承けた第二次を経た今、自信をもって養生されるのではないか◆第一次政権では国民投票法や教育基本法改正、海洋基本法などを実現。辞任後には経済や歴史について徹底的に学び直したと聞く。その成果が就職率の上昇や国書に拠る初の元号などを実現した、第二次政権であった◆未だ拉致問題の解決、憲法改正、デフレ脱却など、課題は山積している。「女性」天皇と「女系」天皇の違いを知らない世論があり、「父系」による皇統を積極的に伝えないメディアがある。依然、共産党全体主義国家の脅威が世界に広がらんとしている◆今回の意図やタイミングについて、さまざまな人がさまざまに解釈するだろう。しかし真意は本人にしか分からない。ただ、国民から託された緊要の課題がある以上、「結果を出すこと」を投げ出したわけでもあるまいと、期待させる◆「枉(ま)がれば即ち直し」(老子上篇22)。身体を屈(かが)めているからこそ、真っ直ぐに伸ばすことができる―。大きく飛べる人というのは、自信を持って屈むことのできる人である。この真理を、かの人物は知っている。第三次政権はいつになるか、それは本人にさえ、分からないことである。(S)