石垣市の尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件から7日で10年。「尖閣諸島を守る会」代表世話人の仲間均市議は同日、逮捕された中国人船長を釈放し、帰国させた当時の民主党政権の対応について「中国に外交的に屈した」と憤った。
2010年9月25日未明。釈放された中国人船長は石垣空港へ向かい、中国の特別機で帰国の途についた。中国国内で「英雄」となった船長。報道陣に笑顔でVサインし、悠々と機内に消えた。
10年が経過した今も、当時の光景が「目に焼き付いている」と話す仲間氏。石垣空港に駆け付け、船長に罵声を浴びせながら、飛び立つ特別機に向かって力の限り走った。「船長を日本の司法で裁くべきだった。日本は中国に外交戦略でも負けた。今でも悔やまれる」と振り返る。
「あの事件を境に、尖閣に対する中国の攻勢が激しくなった。今、本気になって尖閣を乗っ取りに来ている」と指摘。漁業者の安全安心のため、尖閣諸島への船だまり、灯台、無線施設の整備が必要だと訴えた。公務員の常駐も求めた。
石垣市の中山義隆市長は同日のツイッターに「自国の領土の尖閣諸島に灯台や気象観測施設を造る事に誰にも遠慮は要りません」と投稿。実効支配強化に向け、日本が尖閣諸島に施設を整備するべきと求めた。
また「中国が公船の領海侵入など圧力を強めるなか、国は海保の巡視船を増強し監視警備体制は10年前より格段に整いましたが本質的なところはほとんど変わっていません」と危機感を示した。
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尖閣諸島沖漁船衝突事件 2010年9月7日、尖閣諸島沖の領海内で不法操業していた中国漁船が巡視船に発見され、逃走する際に巡視船に体当たりした。中国人船長は公務執行妨害容疑で逮捕されたが、民主党政権は船長の釈放を決定。同25日、船長は中国の特別機で石垣空港から帰国した。