国と地方の関係は政治的に微妙なことも多く、沖縄も御多分に漏れない。だが安倍政権の評価は、県民自身の生活実感から判断したほうがいい◆この7年8カ月、沖縄は国内屈指のリゾート地として大きく飛躍した。観光客1千万人時代に突入し「ハワイと肩を並べた」と言われるまでになった。「アベノミクス」による堅調な景気拡大が旅行需要を押し上げ、離島も空前の観光ブームに沸いた◆高速大容量のインターネット通信が県内離島の隅々まで整備され、長く沖縄のネックだった大都市との「情報格差」が解消されたことも記憶に残る。数十年にわたる沖縄振興の積み上げはもちろんだが、長期安定政権が腰を据えた政策を可能にし、県民生活の向上をもたらしたことは疑う余地がない◆離島では、案件によっては離島で国の存在感が県をしのぐ〝逆転現象〟も起きた。離島での災害時、知事より先に大臣が視察に来たりしたことは典型例だ。国と県の対立、本島と離島の対立という複雑な事情もあるが、ここまで「離島重視」を感じさせた政権も過去にあまり例がない◆沖縄で安倍政権を語るなら、基地反対派の「辺野古バイアス」はいったん忘れる必要がある。あす総辞職。「県民に寄り添う」を有言実行した稀有の内閣だった。