個人的な記憶では、石垣小の入学当時、出迎えてくれた校舎はピカピカの新築だった。ペンキも塗りたてで、何かに触った拍子に両手を汚してしまい、大騒ぎになった。すると校長だった国吉長庸先生がわざわざ出てきて、汚れを洗い流してくれた。温厚な表情は今も忘れない◆当時、「島で一番けんかが強い」と豪語し、暴れ回っていた級友は、今や家業を継ぎ、真面目に働いている。わんぱく坊主だった別の級友は、数年前に再会した時、慎ましやかで、シャイな人物に変貌していた。世の中に変わらないものはないと痛感する◆今は40代だが、級友にはもう物故者がいる。そろそろ今後の生き方を、人生の残り時間から逆算して考えなくてはならない。生きているうちにできること、できそうもないことを冷静に選別すべきだろうが、予測不能なのも人生。必ずしも悲観的になる必要はない、と自分に言い聞かせながら、何とか一日一日を乗り越えている◆石垣小の校舎が40年ぶりに新築されるというニュースが入った。生きているうちに2度目の新校舎を見ることになれば、何だか人生の時計の針が一回りしたような気になる。過去をどう生きたか。未来に何があるのか。校舎の姿は変わっても、母校はずっと証人であり続ける。 (N)