石垣市は、新型コロナウイルスの影響で失業や休業を余儀なくされた島内の人材を活用し、観光地の美化清掃などの業務に従事してもらう予定で、近く募集を開始する。将来的に観光産業が復調する時に備え、観光関連人材の生活を支援することで、島外流出などを防ぐ狙いがある。募集人数は最大で100人程度を見込む。
募集対象は市在住で観光関連業に従事していた人で、新型コロナウイルスの影響で解雇、雇い止めになったり、経営していた店舗の閉鎖などに追い込まれた人。観光関連業は宿泊、飲食、小売業などを指し、八重山公共職業安定所の調査では、こうした失業者や休職者が100人ほどいると見られるという。
市は、こうした失業者や休職者を短期アルバイトとして活用し、週20時間を超えない範囲で観光地のレベルアップを図る事業に従事してもらう。労働者に支払う謝礼金の金額は時給千円前後で調整している。
業務内容は観光地の美化清掃のほか、観光施設の修繕なども想定しており、今後詰める。
労働時間が週時間を超えた場合は市と雇用契約を締結したとみなされ、失業保険の給付が受けられなくなる。市は「少しでも生活を支援したい」として、謝礼金と失業保険の双方を受け取れるよう配慮する考え。
来週までに委託業者を決定して今月下旬から労働者の募集を開始し、11月1日からの就業を目指すスケジュール。募集は市ホームページ、フェイスブックなどのほか、八重山公共職業安定所でも行う。
市議会9月定例会で事業費2500万円を盛り込んだ一般会計補正予算が可決された。財源は全額が国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金。
市観光文化課の玻座真保幸課長は「新型コロナで観光関連の人材が転職したり、島を離れたりすると、収束後に観光業で人材が不足する可能性がある。何とか食いつないでいただかなくてはならない」と指摘。観光人材の生活を支え、観光地のレベルアップを図る「一石二鳥の事業」と話した。