石垣市甘しょ生産組合の石垣英邦組合長らが13日午後、市役所に中山義隆市長を訪れ、優良農家への採苗圃(ほ)設置管理委託費の支援を要請した。市は地方創生臨時交付金を活用し補助金を充てる方針を示した。
採苗圃とは、試験場で育成された甘蔗を原苗圃で育成し、さらに育成して一般自家苗圃に配付するための苗圃。健全な苗が育成でき、採苗時間が通常の半分以下で済むメリットがある。
同組合によると、沖夢紫生産農家の9割超が南風堂㈱に出荷しているが、新型コロナの影響で菓子店の売り上げが低迷し、需要と供給のバランスが崩れている。
組合では春植え(3~6月初旬)で17㌶を10㌶に減反して対応したが、秋植え(9~12月)では植え付けを完全に制限する方針を余儀なくされている。
秋植えが制限され、秋植えから得られる次期作春植えの苗がなくなることから、市に採苗圃設置への支援を要請し、苗の安定確保を求めた。
予定されている採苗圃は60㌃で、組合は優良農家を6人ほど選別し、各10㌃の採苗圃で栽培を委託。来年春植えをする農家は、その採苗圃から苗をもらい受ける。
市は要請を受け、地方創生臨時交付金を活用し、「高収益作物次期作支援交付金事業(仮)」として、採苗圃設置管理委託への補助金を交付する方針を示した。
今月中には交付決定をして、申請を受け付けたい考え。
石垣組合長は「こういった経済情勢ではかなり厳しい状況。新たな戦略、販売方法も模索しているが」と訴えた。
中山市長は「来年の観光客の回復を目指して取り組んでいる。ぜひ勝負できる生産物として残していきたい」と答えた。