的外れな〝政権叩き〟を繰り返す野党と一部メディア。実は彼らこそ、権力への夢と希望を持っているのではないか◆夢があれば幻滅があり、希望があれば絶望がある。執拗なまでに政府に幻滅し絶望するのは、その裏返しとして権力に対する夢と希望を持っているからだろう。権力を過剰に嫌悪しながら、一方で激しい権力欲から逃れられない。矛盾する欲望の渦に呑まれているように見える◆昨今の政権〝批判〟を見るに批判に値せず、難癖ですらない。倒閣の要素が何一つないモリ・カケにしても、過日本欄で指摘した日本学術会議にしても。ここには権力への夢と希望以外に加え、歪んだ正義感や〝やんごとなき事情〟がありそうだ◆事情で思い当たるのは、中国共産党や北朝鮮に関する偏向報道の数々である。大躍進政策や文化大革命、北への帰還事業や拉致事件。殊にその頃は「革命」への夢と希望もあったと聞く。彼の地の実態が明らかになった現在も、依然、その夢と希望を捨て切れていないのではないか◆「リアリスト(現実主義者)/ドリーマー(夢想家)」という対立構造が描かれて久しい。権力に幻滅し絶望する彼らは、その意味でも夢想家と言える。そして彼らについて筆を執る私もまた、ある種の夢想家なのだろう。 (S)