県は29日、与那国町在住の70代女性が町内で初めて新型コロナウイルスに感染した、と発表した。町は30日、数十人規模で町民の検査を実施し、早期の感染封じ込めを図る。この日は石垣市でも、かりゆし病院関係者など3人の感染が確認された。かりゆし病院関係者の感染は計55人、八重山の感染者は計130人になった。
与那国町で感染が確認された女性は9月下旬ごろから10月中旬ごろまで、那覇市に滞在しており、沖縄本島で感染した可能性が高いと見られる。今月25日から発熱やせきの症状があり、町立診療所で28日に実施した抗原検査で陽性が判明した。
県立八重山病院では病床が逼迫(ひっぱく)しているため、海上保安庁が女性を沖縄本島に空輸し、女性は本島の感染症指定医療機関に入院した。
県によると、町内初の感染者確認を受けて町民には不安が広がっており、町は女性の濃厚接触者でない人も含め、幅広く検査対象とした。検体は町立診療所で採取する。
町内で新たな感染者が出た場合は、海保が島外の医療機関に搬送する。県は「まとまった数になると八重山病院では対応できない」(県八重山事務所の宜野座葵所長)としており、感染者は今後とも沖縄本島に搬送する可能性が高いと見られる。
搬送業務の増加に備え、29日に八重山合同庁舎で開かれた八重山地域新型コロナウイルス対策本部会議には、海保の担当者も出席した。
石垣市で感染が確認された男女3人のうち、60代女性はかりゆし病院の清掃員で、同病院関係者の濃厚接触者。無症状だったがコロナ相談外来で検体を採取し、29日に陽性が判明した。同日中に八重山病院に入院した。
40代女性と50代男性は、25日に陽性が判明した沖縄本島渡航歴がある女性の濃厚接触者と関係者。いずれも29日に陽性が判明した。女性は八重山病院に入院し、男性は宿泊療養施設に入所する方向で調整している。
29日現在、八重山の感染者は八重山病院に24人、かりゆし病院に14人が入院。宿泊療養施設には7人が入所している。