中国全国人民代表大会(全人代=国会)が4日公表した海警法草案では、中国公船が領海などに違法に進入した外国船を強制的に駆逐する権利があると明記。海警局の法執行を妨害する個人や組織は処罰するとしている。将来的に「中国公船」が石垣市の尖閣諸島周辺で操業する日本漁船や、警護に当たる海上保安庁の巡視船を攻撃するための「布石」となる恐れがある。
尖閣諸島周辺を航行する中国公船「海警」は既に武装化している。同草案は、外国船が中国の管轄する海域で違法に活動し、海警局の停船命令などに従わない場合は武器の使用を認める内容。
海上での反テロ任務、重大な暴力事件への対処に加え、攻撃を受けた場合、海警局職員は所持する武器のほか、艦船や航空機に備え付けられた武器も使用できる。警告の効果がなかったり、警告後でも重大な危害が及ぶ場合も武器を使用可能としている。
国家主権や海洋権益を損なう行為を予防し阻止するため、海警局が領海や接続水域を含む管轄海域でパトロールや監視を行うとした。南シナ海を念頭に、人工島を守るため必要な措置を取るとも盛り込んだ。
中国など複数の国が領有権を主張する南シナ海では、中国公船がベトナム漁船に体当たりして沈没させたり、拿捕(だほ)して海域の管轄権を主張する事態が起きている。
尖閣周辺海域では、中国公船が常駐体制を構築。八重山の漁船が出漁してくると、威嚇して操業を妨害する動きを見せている。そのつど、海保の巡視船が漁船の周辺で警護に当たり、漁業者の安全を確保してきた。
近く尖閣海域へ出漁する準備を進めている、尖閣諸島を守る会代表世話人の仲間均氏は、海警法草案について「日本が尖閣を放置してきたツケが回ってきている」と指摘。「私は脅しには屈しない。日本は挑発に乗らず、しかし毅然として対応すべきだ」と話した。