県が県立八重山病院の南東側隣接地に整備した急患搬送用の暫定ヘリポート供用開始式が11日、同病院敷地内で開かれた。昨年12月6日以降、海保の急患輸送ヘリは新石垣空港を発着点にしていたが、暫定ヘリポートが使用可能になったことで、八重山病院までの搬送時間が大幅に短縮される。玉城デニー知事は「八重山圏域住民の安全安心につながる」と期待した。
暫定ヘリポートは20㍍四方で、安全確保のため50㍍四方のフェンスに囲まれている。舗装は35㍉の厚さ。八重山病院敷地に接続する約70㍍の道路も整備された。整備事業費は約3200万円。
恒久的なヘリポートに関して県は現在、設置場所や仕様について検討しており、旧石垣空港跡地で進む石垣市の土地区画整理事業などもにらみ、関係機関と協議する。玉城知事は報道陣に対し「できる限り空白がないよう整備を進めたい」と強調した。
供用開始式では、石垣市の川満誠一副市長、与那国町の外間守吉町長が「県がスピード感を持って取り組んだことに感謝する」などとあいさつ。第11管区海上保安本部の葛西正記本部長は「安全に離着陸できるヘリポートが八重山病院の近くに整備されたことは意義深い。さらに訓練を重ね、次の一件にもしっかりと対応できるよう万全を期していく」と述べた。
暫定ヘリポートに実際にヘリが飛来し、患者を病院に搬送するデモンストレーションが行われた。ヘリから降りた石垣航空基地の金城直樹飛行長は「非常に着陸しやすいヘリポートだった」と話した。
このあと、金城飛行長は玉城知事に急患搬送の流れを説明。新型コロナウイルスに備え、感染症などの患者を密閉して運ぶトランスバックを見せると、知事はスマホで写真を撮影していた。
海保は昨年まで旧石垣空港跡地の真栄里ヘリポートを使用していたが、隣接地で市の新庁舎建設事業が始まったため、使用継続が困難になっていた。
八重山病院までの搬送時間は新石垣空港が約15分、暫定ヘリポートが1~2分。八重山圏域の急患搬送実績は1972年から2019年までの累計が3097件、直近3年間は17年49件、18年30件、19年61件。