【金波銀波】「今年の漢字」が選定される季節になったが…

 「今年の漢字」が選定される季節になったが「病」しか思い浮かばない。疫病に始まり、疫病に終わる1年になりそうだ◆1月、中国で正体不明の「新型肺炎」が発生した、という短い記事が発端だったが、これほどの大惨事になるとは。あっという間に国内でも感染が広がり、沖縄でも蔓延(まんえん)し、離島の八重山すら猛威にさらされた◆国、県、さらには町の「緊急事態宣言」が発表され、島々はまるで戦時下。にぎわっていた観光地は静まり返り、大通りから人の波が消え、商店はシャッターを下ろした。これがあの美しい八重山だとは信じられないほど荒涼たる風景が広がった◆人々の生活様式も変わった。会う人はすべてマスク姿。感染の原因として「3密」という概念が定着し、人と人の距離が広がった。イベント中止で経済は大打撃を受け「コロナ離職」が相次ぎ、明日への不安に苛まれている◆私たちは戦後最大の試練を経験した世代になった、と言えるのかも知れない。だからこそ敗戦後、瓦礫の山から再出発した先人のように、強靭な気力と体力を持って立ち上がりたい。そして痛みを知ったからこそ、他人の痛みに気づける心。そんな社会をつくりたい。来年の漢字が「癒(いやし)」であることを祈りつつ。(N)

関連記事

八重山日報公式 X(Twitter)

ユーグレナ シルバー人材センター たびらいレンタカー ecovillage アイン薬局 ひとし眼科 嶺井第一病院 とみやま耳鼻咽喉科 ヒデ整形クリニック
ページ上部へ戻る