今月初めから続いている海上のシケと船舶の欠航で大型店やスーパーで食料品などが店頭から消えたり、品薄になるなど、各方面に大きな影響が出ているが、一方で海を生活の糧にする漁業者は1週間余り、漁に出られない日が続いている。
冬場の海は季節風が強く、出漁できない日が数日続くが「こうも長く漁に出られないのはめったにない」と漁師らは異口同音にタメ息をつく。
八重山漁協関係者によると、アカジンなどを獲る電灯潜り漁の漁師は海に出ているが、パヤオ周辺でマグロ漁をしている漁業者は深刻だ。
石垣市八島町の諸見麗(れい)さん(48)は先月29日から漁に出ていない。「台風で海が荒れ、漁に出られないのは4、5日くらいだが、こんなに長引くのはめったにない」と話す。
それでも波が収まり次第、いつでも漁に出られるようにと、漁船に給油したり、船倉に氷を積み込んでいた。
浜崎町の石垣漁港では、漁師仲間が集まり、漁具の手入れをする姿がみられた。金城国広さん(41)=新栄町=も「9日間、漁に出ていない。マグロ漁をしていて、こんなのは初めて」と手持無沙汰の表情。
新型コロナウイルスの感染拡大防止で航空会社が減便を始めた7月、水揚げしたマグロの出荷が滞り、多くの漁業者が苦境に立たされた。他の漁師仲間は「今回はコロナに次ぐダブルパンチだ」と話した。
漁港では、多くの漁船が1週間以上も岸壁に係留された状態が続く。石垣島地方気象台によると、シケや波の高い状態は8日まで続く見込みで、漁協では「漁は9日から再開できるのでは」と話している。
(南風原英和)