「いつの間にかＧｏＴｏが悪いことになってきちゃった」。菅義偉首相がインターネット番組でぼやいたが、各ニュース番組の解説者は今「政府はなぜＧｏＴｏを止めないのか」の大合唱だ◆第１、２波を上回る規模で襲来した新型コロナウイルスの第３波。人の移動が最大の要因とされ、大阪や札幌を目的地とする旅行は「ＧｏＴｏ」が一時停止された。大都市圏では妥当な措置だろう。だがすべての地域で「ＧｏＴｏ」が感染拡大を招いているわけではない◆沖縄も「第３波」のただ中にあるが、観光客がウイルスを持ち込む「移入例」はわずかで、大人数での会食や家庭内感染などが主な感染経路とされる。「ＧｏＴｏ」利用者も受け入れ側も、この時期の旅行には、感染防止にそれなりの覚悟や配慮を持って臨んでいることを示している◆観光を基幹産業とする沖縄にとって、人の移動制限はまさに死活問題。県民にさまざまな意見があったことは事実だが「ＧｏＴｏ」が始まってみれば、多くの事業者に干天の慈雨として受け止められた◆「ＧｏＴｏ」停止や大都市圏のロックダウン（封鎖）を主張するのは簡単だが、貧しい離島県がコロナ禍でどのように食いつなげばいいのか、真剣に考えてもらうことも必要だ。経済を止めないでほしい。　　（Ｎ）