離島ならではの旅情が人気の竹富町内の小規模な民宿や旅館が、コロナ禍で厳しい現実に直面している。臨時休業を決めたホテルもある。GoToトラベル事業の一時停止と緊急事態宣言の再発令により予約キャンセルが相次いでいるという。
客数5分の1の宿も
このうち竹富島では、島内に10数軒ある民宿や旅館の多くから、窮状の声が聞かれた。高那旅館は毎日キャンセルの電話が入り、客数は例年の5分の1に。団体客もすべてキャンセルになったという。新盛桂子さんは「GoTo トラベルで持ち直しつつあったのに残念。維持費の負担が大きく、持続化給付金のような支援をしてほしい」と訴えた。
民宿小浜荘はネット予約に力を入れ、10月から11月はGoTo利用客で好調だったが、今は新規の予約はほとんどないという。藤井ひろみさんは「小さな民宿は閉めたら潰れるしかなく、補償がないのであれば休業もできない」と危機感を強める。高齢者が多い島へのコロナ流入を恐れ、受け入れを断念した宿もある。
民宿松竹荘は昨年の緊急事態宣言以降の再開を模索したが、新規予約の受け入れの多くを諦め、GoToも導入しなかった。宿の狩俣由都子さんは「高齢者と持病のある人がいるので、コロナが怖くて受け入れができなかった。収入がないので何らかの支援があると助かるのだが」と苦しい胸中を語った。
再開時期では反応割れる
行政による給付金のような支援策を求める要望は強いが、GoToトラベルの再開時期については、宿泊施設により反応が別れた。
早期再開を望む女性は「離島に泊まりたい人は、感染対策にも協力的。これだけGoToで竹富島にお客さんが入っても感染者は出ていない。予約時にきちんと説明をすることが大切」と話した。慎重に判断すべきという女性は「GoToはありがたいが、現状ではコロナも怖い」と複雑な表情を浮かべた。一方で当初からGoToを取り扱わない選択をしてきた民宿の男性は「値段を下げて量というGoToの考え方は、竹富島にはそぐわない。GoToの一時停止以降、予約キャンセルが相次ぎ、メリットはなくデメリットだけだ」となげいた。
また「GoToの導入や給付金を申請する時に、ネット操作が不慣れな世代には手続きが難しく感じた」などの声もあった。このほか竹富島にはホテルが2軒あり、そのうち「ホテルピースアイランド竹富島」が17日から2月7日まで臨時休館に入った。
宿泊予約課の比屋定康氏は「予約キャンセルが相次ぎ経営的には苦しいが、これだけコロナが全国的にまん延している状況なので、医療体制も整わない小さな島への影響を一番に考えて判断した」と理由を話し「国には一刻も早く収束させてほしい」と要望した。
(隅田賢通信員)